※こちらは、私個人がWordPressの動きや使い方を確かめるために書いているテストブログです。
正式運用しているブログではないのでいつのまにか削除されている場合もあります。
今さらな感じがありますが、3月13日にアジアサッカー連盟(以下:AFC)がAFCチャンピオンズリーグエリート(以下:ACLE)の準々決勝以降の日程を発表しました。
このときはじめて東西両リーグの1位にシード権が与えられること、そして両方を通じて最も戦績の良かったアル・ヒラル(サウジアラビア/西地区1位)を日程的に最も優位な位置に割り振ることが発表されました。
最も戦績の良かったチームが日程上(あるいは会場が決まっているなら移動面でも)有利な位置を割り振られること自体は珍しくもなく、レギュレーションに織り込まれていればごく普通で、一見AFCの発表は正当性のあるものだったようにも見えます。
しかしながら、この発表を受けて、当然日本では疑問が噴出しました。
SNSやコミュニティサイトの各種発言の当事者の許可を得ていないので、要約を記すと、こんな感じです。
- 東地区は7試合の戦績で最終結果となったチームがあったのに、不公平すぎる
- リーグフェーズ上位のアドバンテージ(順位に応じ下位通過勢との対戦と第2戦ホームの日程であること)は事前発表されていたのに、さらにあとから追加するのはおかしい
- このアドバンテージが事前に知らされていたら、リーグ突破決定後の消化試合も選手起用に影響があったかもしれない
- ラウンド16を終えた後の組み合わせに、もう終わったリーグフェーズの戦績を持ち出してくる理由がわからない
- 結果として中東勢が総合1位となったから追加されたレギュレーションとしか思えない
- 仮に横浜の戦績のほうが上だったら、この優遇はなく準々決勝は一律の抽選だっただろう
- 日本ではこんな後出しじゃんけん、ありえない
日本ではこんなアンフェアな、それも大金につられて特定チームを有利にするような操作がおこなわれるはずはない、そう思いたいところですが、実はそれが疑われるできごとを、日本サッカー協会(以下:JFA)が起こしていたのです。
それがJFA 全日本フットサル選手権(以下:F選手権)です。
F選手権の当時のレギュレーション
F選手権は例年3月ごろに開催される、サッカーでいうところの天皇杯に相当するオープントーナメントです。地域大会を勝ち上がった代表チームと、本大会からシードされるFリーグ所属クラブが参加します。2014年3月に開催された第19回大会までは、24チームが参加し、1次リーグは6グループに分かれておこなわれました。

異変が起きたことのきっかけは、翌年の2015年3月に開催された第20回大会。
前年より開催されたFリーグが12チームとなったため、地域代表の出場枠が狭くなることが危惧されたためか、Fリーグ勢の上位2チームをシードとし、決勝ラウンドは各グループ1位となった6チームと、Fリーグ上位2チームの8チームが進出するレギュレーションに変更されました。

そして肝心のシード権を得る2チームですが、これについては前もって「Fリーグ年間成績上位2チーム」と明言されていました。
しかしながら、グループの振り分け抽選会の時点ではプレーオフで決まる最終順位が決定しておらず、2位以内が確定していたのはプレーオフ決勝のシードが確定していた名古屋オーシャンズのみ。
抽選会時点では、「暫定2位」としてバサジィ大分を2位とする順位で抽選のグループ割り振りがおこなわれ、プレーオフで大分以外のチームが決勝進出した場合は、そのチームと大分が入れ替わることは前もってアナウンスされていました。
結果、その大分をプレーオフ初戦で破ったシュライカー大阪(レギュラー5位)が決勝まで勝ち上がり、シード権を勝ち取りました。その後4位/5位決定戦でも敗れた大分はシーズン成績5位となり、大阪の枠と入れ替わって第20回F選手権のグループリーグからの出場となりました。
このことは、プレーオフ準決勝が終わった時点でも、改めてアナウンスされました。
PUMA CUP 2015 第20回全日本フットサル選手権 1次ラウンドおよび決勝ラウンド組み合わせ変更のお知らせ 2015年02月21日 JFA.jp
この結果については事前のアナウンスがされていたことに加え、レギュラーシーズンで2位だったとはいえプレーオフ戦績で大分は年間成績5位となったこともあり、大分サポーターからもシード権を逃したことに不満を唱える声はあまり見られませんでした。
異変が起きた第21回F選手権
翌2016年3月開催の第21回F選手権も同様のレギュレーションで開催されました。

Fリーグはすでに1月にプレーオフも終了しており、偶然にも前年同様、レギュラーシーズン5位の府中アスレティックF.C.がプレーオフを勝ち抜き決勝進出、最終成績を準優勝としました。
また、レギュラーシーズン2位だったペスカドーラ町田も前年のレギュラー2位の大分同様、1月に開催されたプレーオフの結果、最終順位は5位となりました。
この年は最終順位が出た状態で2月5日の抽選会を迎え、前年の大分のように期待させられてあとからシード権を奪われるような心配もなく、名古屋と府中がシード権を得るものと思われていました。
ところが、JFAは抽選会の場でシード権が名古屋と町田であることを発表。
1次ラウンド・決勝ラウンドの全ての日程、組み合わせが決定 第21回全日本フットサル選手権大会 2016年02月06日 JFA.jp
もちろんレギュレーションをより適正なものに変更・改善するというのであれば決して悪いことではありません。
・前年の大分に思わせぶりで残念な思いをさせたことの反省
というなら、この変更も一理ありますが、すでに府中がシーズン2位を確定させたあとだったため、この理由で突然のレギュレーション変更は、正当性があるとは思えません。
JFAはその説明もせず、また「上位2チーム」としか事前に発表していませんでした。
レギュラーシーズンの上位2チームとも、プレーオフで決まるシーズン成績の上位2チームとも、どちらでもあとからJFAの都合のいいほうに決められる余白を残していました。
疑惑が強まった第22回F選手権
2017年3月におこなわれた第22回F選手権は、Fリーグのレギュラーシーズンが終了する前の2月2日に抽選会がおこなわれました。
1次ラウンドの組み合わせが決定 第22回全日本フットサル選手権大会 2017年02月02日 JFA.jp
この年は抽選の段階で、まだレギュラーシーズンも終了していなかったため、前々回同様、暫定でシードのチームを決め、あとからシードのチームが入れ替わることは仕方のないことなのかもしれません。
その後、抽選会時点で暫定1位とされていた大阪、暫定2位とされていた名古屋はそれぞれ順位が変わらずにレギュラーシーズンを終了することになりますが、抽選会の日になって初めて、このようなアナウンスがされました。
Fリーグプレーオフを経て最終順位が変更となった場合、当該チーム同士の入替えが行われます。
つまり、前年のレギュレーションをまたしても覆す、と言い出したのです。
もちろん、それについて後付けで正当性を主張することはいくらでもできます。
・日程的なスケジュールの関係で、直前までプレーオフ決勝を戦った2チームが、直後のF選手権1次ラウンド(グループリーグ)を免除されるべきだ
などですね。
この年は抽選会時点でプレーオフどころかレギュラーシーズンも終わっていませんでした。
残りひと月半の間にリーグとプレーオフを消化し、F選手権を迎えるとなると、それは一見正しいようにも見えます。
しかしそれであれば、なぜ大会要項を発表した時点で、そのことを明記しなかったのか。
| レギュラーシーズン最終順位 | 最終勝点 | 2月1日時点の勝点 |
| 1位 シュライカー大阪 | 83 | 77 |
| 2位 名古屋オーシャンズ | 73 | 69 |
| 3位 ペスカドーラ町田 | 65 | 56 |
| 4位 フウガドールすみだ | 64 | 60 |
| 5位 府中アスレティックF.C. | 57 | 48 |
まず、抽選時点の参考材料となる「2月1日時点での戦績表」では、あくまで抽選のための「暫定である」と前置きがあったものの、その上位2チームはほぼ決まっていました。
1位・大阪と2位・名古屋の勝点差は8で、残り3試合で大阪が1勝でもすればレギュラーシーズン1位が確定するという状況でした。そのため、F選手権のシード権もほぼ確定していました。
また、2位・名古屋もその時点での3位・すみだとは勝点差9。引き分け1つで2位が確定する状況でした。
つまり、レギュラーシーズンが終わっていないとはいえ、前年通りのレギュレーションに則ると上位2チームは大阪と名古屋で確定したといっていい状況でした。
どのような思惑があったのかは推測の域を出ないため論じるつもりはありません。ただ、確かなことはJFAは2年連続で前年のレギュレーションを覆す後出しをしてまで、大阪以外の残る1枠を名古屋で確定させないという判断をしたということです。
もちろん、プレーオフで名古屋が決勝進出すれば文句なしでシード権を獲得していましたが、結果的には準決勝で勝利した町田がシード権を獲得しました。
この段階では毎年変わるシード権付与基準や、プレーオフでの審判のレフェリングに対する疑問や批判もSNSなどで噴出しましたが、ここではそのような主観や個人的な考えは排除し、そうしたできごとがあったという客観的事実のみに触れることにします。
その「後出し」は、なぜおこなわれたのか
Fリーグの順位をもとに上位2チームがシード権を得る、という26チーム参加のF選手権は、翌第23回まで続きました。第23回はFリーグのレギュラーシーズン、プレーオフともに町田が2位となったため、この年の町田のシード権獲得には異論はほとんど出ませんでした。
第24回F選手権以降は、Fリーグの2部制移行に伴い、参加チーム数を32チームとし、上位チームのシードがなくなったことで、この問題は解消されました。
それだけに、4年間で3回(のうち2回)の2番手枠が不自然な形で町田に付与された事実がますます際立ちます。
冒頭のACLEについては「中東優遇」、そして東地区の試合数の異なる戦績で勝ち点をもとに順位付けする「中国優遇」は、オイルマネーやチャイナマネーになびいたものと言われています。
ただ、町田を優遇したところで、そんな大きなお金(もしくは何かの利権)が動くのか?
全国リーグができて当時で10年そこそこのフットサルリーグで、絶対王者と言われた名古屋でさえも優遇したところで協会に恩恵をもたらすほどの莫大な予算規模でもありません。
しかしJFAにとってはその動機がありました。それが「放映権」です。
2017年に、第22回F選手権、Fリーグオーシャンカップ(以下:オーシャンカップ)、Fリーグの一部試合がAbemaTVで配信され、そこから年々配信試合数も増加し、2020-21シーズンのリーグ戦からは、Fリーグディビジョン1(以下:F1L)の全試合配信も始まりました。
最初の「後出し」がおこなわれた第21回F選手権は、まさにその交渉の段階と重なります。
Fリーグが始まって以降、F選手権の放映権はAbemaTVと並行した時期も含めれば現在に至るまでBS・CSのテレビ朝日が持っているため、時代とともに配信に移行するならAbemaTVで配信していくのは当然ではあります。
ただし、AbemaTVが関わることで交渉の席の顔ぶれはJFA・Fリーグ・テレ朝だけではなくなりました。サーバーエージェントが加わります。
サイバーエージェントは特にペスカドーラ町田のスポンサーやパートナーではなく、直接的な関係性はないとされています。
Jリーグの「FC町田ゼルビア」を子会社化していることや、ゼルビアがペスカドーラのことを「町田のフットボールファミリー」と位置付けているとはいえ、それはあくまでゼルビアを経由した間接的なつながりでしかなく、直接支援はしていない、ということになっています。
では、AbemaTVにとって、町田はただの「F1Lに所属しているチームの1つ」に過ぎなかったのか?
AbemaTVのFリーグ中継が始まったころ、中継のコメント欄にはこのような批判がちらほら見られました。
- 他の試合では右上のスーパーで中立に「●●が先制!」「●●が同点に追いつく!」なのに、町田の相手チームが先制したら「早々に失点!」など町田目線なのはなんなの?
- 「突撃ロッカールーム」のコーナー、町田しかないのはなんで?
- あぁ、町田が負けたらロッカーやらないのか
- 町田だけロッカーのコーナーがあるから、共同開催の最後にもってくるのはリーグも日程を優遇してるんだな
このあたりのコメントには、ただの町田アンチもいたかと思うのですが、Abema Fリーグ中継の中で町田を持ちあげるコーナーがあったのは事実です。
中継2年目の2018-19シーズンには、AbemaTVが中継を担当するセントラル開催や6クラブ共同開催では、早ければ朝10時に試合が組まれることもある共同開催でも、町田だけは早い時間に試合を組まれることはなく必ず最後の試合を割り当てられていました。
これはAbemaTVの意向だけでできるものではなく、リーグやJFAが協力しようとする何らかの理由がなければここまで偏ることはありません。
Matches 2018-2019 2018-2019 リーグ試合結果 Fリーグ公式サイト
このあたりはAbemaTV側も試行錯誤だったのか迷走だったのか、試合前に予告されたはずのロッカーのコーナーも町田が負けたあとは中止になったり(以後「予告」はしなくなった)、町田が負けた試合のあとに町田のロッカーに突撃して、重い空気が中継に漂ったりと、よくわからないことがたびたび起きていました。
Abema Fリーグ中継が偏向姿勢への批判にようやく重い腰を上げ、町田以外の勝利チームのロッカーの様子を中継するなど、公平な姿勢への歩み寄りを見せ始めたのは、数年先のことになります。
話が脱線してきましたが、「事実」だけをまとめるとこのような形となります。
- JFAが不自然なシード権付与のレギュレーションを後出しで発表した
- 前年に則ればシード権が確定していたと思われるチームが、シード権を失った
- 変更の結果、シード権を獲得した町田は、前年の例であれば獲得できないはずだった
- ちょうど同じ時期に、AbemaTVとの放映権交渉がまとまった
- Abema中継の兼ね合いで、町田はプロモーション的にも日程的にも他チームとは違う扱いを受けた
これらの事実一つひとつに結びつきがあるかどうかは断言しません。推測での決めつけでは、AbemaTVのコメント欄で根拠なく特定チームを叩いていたアンチと変わりません。
ただ、大会レギュレーションの後出しと、まとまったお金を手に入れるサッカー協会(連盟)の関係が疑われているという点でいえば、規模は違えどもこれはACLEの件と同じできごとといえるのではないでしょうか?

コメント